
農業用ドローンは「所有圃場の広さ」で機体サイズを決めがちですが、それは本質的な基準ではありません。
散布速度や吐出量はT25もT50も同等で、作業効率を左右するのは散布幅と運用設計です。
容量の大きな機体は長時間飛ぶのではなく、一度に多く積める=離着陸回数を減らせるという違いにすぎません。
本記事では、T10・T25・T50・T25P・T70Pのスペックと、用途別に最適な選び方をわかりやすく解説します。
Contents
散布性能は「機体容量」ではなく「散布幅」で決まる
農業用ドローンの作業効率は、積載容量の大きさではなく、どれだけ広い幅で一度に散布できるかによって決まります。
T25とT50は最大吐出量や速度が同じため、違いは「有効散布幅」にあります。
散布幅が広いほど横移動の回数が減り、作業時間を短縮できます。
- T25もT50も最大吐出量は同じ(毎分24L)
- 飛行速度や1反あたりの散布量(目安800ml)は共通
- 散布効率を左右するのは「有効散布幅」
- T25:約7.5m
- T50:約10m
- 横移動(ライン数)が減るほど早く終わる
- 例:100m圃場を T25は 約13ライン、T50は 10ラインで完了
容量が大きい=長く飛べる、ではない
ドローンの積載容量は「飛行時間の長さ」ではなく「一度に積める薬剤量」に関係します。
T25とT50はどちらも1フライトで おおむね同じ面積を散布できるため、容量が大きいほど長く飛べるわけではありません。
容量が大きい機体は、離着陸や補充の回数を減らす効果があります。
- T25・T50ともに1フライトあたり約2〜2.4ha前後が目安(同じバッテリー使用)
- 容量が大きいと「薬剤を多く積める」ため、離着陸・補充回数を減らせる
- 1フライトに使い切る量だけを積むため、常に軽い状態で帰還する運用が基本
ペイロード余力が機体寿命に直結する
積載量に対して機体にどれだけ余力があるかは、耐久性に大きく関係します。
最大ペイロードに近い重さで飛行を続けるとモーターやESCに高い負荷がかかり、故障リスクが高まります。
T50はペイロードに余裕があるため、高負荷の連続運用でも安定して使用できます。
- 同じ重量を積む場合でも、最大ペイロードに余裕がある機体ほどモーター・ESCへの負荷が小さい
- 真夏の高温環境でT25に高負荷をかけ続けた故障事例がある一方、T50では未発生
- 連続散布や追肥など高負荷運用にはT50が安全
用途別のおすすめ
どの機体が適しているかは、主に使用する薬剤の種類や作業スタイルで決まります。
散布幅と機体余力のバランスを考え、目的に合った機体を選ぶことが重要です。
- 液剤(水稲用の除草・殺菌など)中心 → 散布幅重視でT25またはT50
- 追肥・粒剤など多量散布(短時間で一気に出す) → T50推奨(高流量散布でも余力があり短時間で終了)
- 分割圃場・移動が多い作業 → T25(小型で積み下ろしが容易)
バッテリー運用の基本ノウハウ
効率的な作業のためには、バッテリーをどのように回すかも重要です。
高残量での短時間充電を繰り返しながら、常に満充電のバッテリーに交換して使うことで、待ち時間を最小限にできます。
- フライトごとに満充電バッテリーへ交換
- 高残量(80%)→満充電:5分未満
- 低残量(30%)→満充電:10〜15分
- 通常サイクル:4本で1日運用可能
- 2ha超の連続圃場:5本推奨
- 1haあたり作業時間:有効散布幅 7.5m → 約6〜7分、有効散布幅 10m → 約5分前後
各機体の特徴とスペック
◆ DJI Agras T10
小規模圃場・試験導入向けの 軽量コンパクトモデル
- コンパクトなエントリーモデル(折りたたみ式)
- 最大離陸重量:24.8kg
- 最大ペイロード(液体):10L
- 有効散布幅:約 5.5m
- 小規模圃場や試験導入向け
◆ DJI Agras T25

分割圃場も 水稲も、これ1台。 液剤散布に最適な中型モデル
- 標準的な主力モデル
- 最大離陸重量:約 57kg
- 最大ペイロード(液体):25L
- 有効散布幅:約 7.5m
- 分割圃場や水稲液剤散布に適する
◆ DJI Agras T50

プロ仕様の連続散布力 広域・高負荷作業に最適!
- 大容量・高効率モデル
- 最大離陸重量:約 78kg
- 最大ペイロード(液体):40〜50L(実用目安40L)
- 有効散布幅:約 10m
- 高負荷連続散布・追肥用途に最適
◆ DJI Agras T25P

コンパクトで単独作業に最適な、最新農業ドローン!
- 折りたたみ式・軽量・高精度モデル
- 最大離陸重量(噴霧時):約 53kg
- 最大ペイロード(液体):20L
- 有効散布幅(液体):約 4〜7m
- 中規模農地での防除・施肥に適合
◆ DJI Agras T70P

効率と安全性を両立!大規模農業向けの最新モデル
- 高効率・高精度モデル
- 最大離陸重量(噴霧時):約 130kg
- 最大ペイロード(液体):70L
- 有効散布幅(液体):約 4〜11m
- 液体散布・粒剤散布・輸送まで対応
DJI AGRAS シリーズ主要スペック比較
各モデル(T10 / T25 / T50 / T25P / T70P )の基本的な仕様を比較した一覧です。
作業規模や運用スタイルに合わせて選定する際の参考になります。
| 項目 | T10 | T25 | T50 |
|---|---|---|---|
| 最大離陸重量 | 24.8 kg | 57 kg | 52 kg(農薬満載時) 70 kg(肥料満載時) |
| タンク容量 | 10 L | 20 L(拡張時25 L) | 40 L(最大50 kgまで) |
| 最大吐出量 | 毎分 2.4 L(標準) | 毎分 24 L | 毎分 24 L |
| 有効散布幅(目安) | 約 5 m | 約 7.5 m | 約 10 m |
| バッテリー仕様 | DJI DB1560 14S / 15,600 mAh |
DJI DB2600 14S / 26,000 mAh |
DJI DB2600 14S / 26,000 mAh |
| 1フライト散布面積(目安) | 約 1 ha | 約 2〜2.4 ha | 約 2〜2.4 ha |
| 搭載機能 | RTK対応・全方向レーダー・FPVカメラ | RTK対応・デュアルレーダー・全方向障害物回避・FPVカメラ | RTK対応・デュアルレーダー・全方向障害物回避・FPVカメラ |
| 用途の目安 | 小規模圃場・試験圃場 | 中規模圃場・分割圃場での運用 | 大規模圃場・連続散布・追肥など高負荷作業 |
| 項目 | T25P | T70P |
|---|---|---|
| 最大離陸重量 | 噴霧時:53 kg 散布時:60 kg | 噴霧時:126〜130 kg(バッテリー込み) |
| タンク容量 | 液体:20 L / 粒剤:30 L | 液体:70 L / 粒剤:100 L |
| 最大吐出量 | 液体:最大 24 L/分(ノズル4個時) | 液体:最大 30 L/分(標準2ノズル) 最大 40 L/分(オプション4ノズル) |
| 有効散布幅(目安) | 液体:4〜7 m / 粒剤:3〜8 m | 液体:4〜11 m / 粒剤:約 10 m |
| バッテリー仕様 | DJI DB1560 14S / 30 Ah |
DJI DB2160 41 Ah |
| 1フライト散布面積(目安) | 約 2 ha(条件により変動) | 約 3 ha(障害物のない圃場で実証値) |
| 搭載機能 | RTK対応・安全性システム3.0 ミリ波レーダー+トリプルビジョン 全方向障害物回避・ナイトビジョンFPV |
RTK対応・安全性システム3.0 全方向障害物回避・高効率アルゴリズム 急速充電対応・大容量粒剤散布 |
| 用途の目安 | 中規模圃場・単独作業に最適 液体散布+粒剤散布を柔軟に対応 |
大規模圃場・高効率連続散布 液体・粒剤・運搬まで対応 |
導入についてのご相談や 機体についての質問など、また 講習をご希望の方もお気軽にご連絡ください。
DJI Agras ギャラリー
DJI Agras T25










DJI Agras T50





































